小型焼却炉の設置に許可は必要?50kg/h未満の焼却炉と法律を解説

「小型焼却炉を導入したいけれど、設置には許可が必要なのだろうか?」
「自社の敷地内でごみを燃やすことは法律上問題ないの?」
「50kg/h未満の焼却炉なら、届出なしで設置できると聞いたけれど、本当?」
小型焼却炉の導入を検討している企業から、このようなご質問をいただくことがあります。
廃棄物の焼却には法律による規制がありますが、焼却炉の処理能力や構造、焼却する廃棄物の種類、設置する地域などによって必要な手続きは異なります。
特に知っておきたいのが、焼却能力50kg/hと火床面積0.5㎡という基準です。
今回は、小型焼却炉の設置に関係する法律や届出・許可の考え方、導入前に確認しておきたいポイントを分かりやすく解説します。
小型焼却炉は法律で禁止されている?
結論から言うと、小型焼却炉の設置や使用そのものが、全国一律に禁止されているわけではありません。
ただし、廃棄物を焼却する場合は、廃棄物処理法などで定められた基準を守る必要があります。
廃棄物処理法では、廃棄物の野焼きは原則として禁止されています。
一方、法律で定められた焼却設備の構造基準や焼却方法に適合している場合には、適法に焼却処理できる場合があります。
つまり、重要なのは「小型だから自由に燃やせる」ということではなく、法令に適合した設備を使用し、適切な方法で焼却することなのです。
50kg/h未満の焼却炉は届出が不要?
小型焼却炉の設置を検討する際、よく耳にするのが「50kg/h未満」という数字です。
これは、ダイオキシン類対策特別措置法における焼却施設の規制対象を判断する際の重要な基準です。
同法では、廃棄物焼却炉について、次のいずれかに該当する場合、特定施設としての規制対象になります。
- 焼却能力が1時間当たり50kg以上
- 火床面積が0.5㎡以上
つまり、焼却能力50kg/h未満、かつ火床面積0.5㎡未満の焼却炉は、原則として、この規模基準によるダイオキシン類対策特別措置法の特定施設には該当しません。
ただし、ここで注意が必要です。
この基準を下回っていても、すべての法律や条例において届出・許可が不要になるわけではありません。
設置する地域の条例や、焼却する廃棄物の種類などによっては、別途手続きが必要になる場合があります。
また、複数の焼却炉を同一施設に設置する場合は、焼却能力や火床面積を合算して判断する規定があります。
廃棄物処理法とダイオキシン類対策特別措置法の違い
焼却炉に関係する法律として、特に重要なのが次の2つです。
1. 廃棄物処理法
廃棄物処理法は、廃棄物の適正な処理を目的とする法律です。
焼却施設についても、一定規模以上の施設には設置許可などの規制が設けられています。
例えば、一般廃棄物の焼却施設では、原則として処理能力200kg/h以上、または火格子面積2㎡以上が施設設置許可の対象となる規模基準です。
産業廃棄物の焼却施設についても、廃棄物の種類に応じて規模基準が定められています。
特に注意したいのが、廃プラスチック類の焼却施設です。
廃プラスチック類の場合、1日当たりの処理能力が100kgを超える施設、または火格子面積が2㎡以上の施設は、廃棄物処理法上の施設設置許可の対象となります。
このように、焼却能力が50kg/h未満であっても、焼却する廃棄物の種類や施設の能力によっては、許可が必要になる場合があります。
廃プラスチック類の「1日100kg超」に注意
廃プラスチック類の焼却施設については、1日当たりの処理能力の考え方にも注意が必要です。
環境省の資料では、産業廃棄物処理施設の1日当たりの処理能力について、24時間稼働する施設は24時間の定格標準能力、それ以外は実稼働時間における定格標準能力を用い、実稼働時間が8時間未満の場合には8時間として算定する考え方が示されています。
例えば、廃プラスチック類の焼却能力が30kg/hの設備であれば、8時間換算で240kg/日となる計算です。
そのため、「実際には1日3時間しか運転しないので、100kgを超えない」という理由だけで、設置許可が不要と判断することはできません。
また、木くずなどの一般的な可燃物の焼却能力と、廃プラスチック類を単独で焼却する場合の能力が同じとは限りません。
廃プラスチック類を焼却する場合は、50kg/h未満の小型炉であっても、1日当たりの処理能力が100kgを超えて施設設置許可の対象となる可能性があります。
処理能力の算定方法や、混合廃棄物を焼却する場合の取扱いも含め、事前に自治体へ確認することが重要です。
なお、施設の規模にかかわらず、廃棄物を焼却する際には、法令で定められた焼却方法や設備の構造基準を守る必要があります。
2. ダイオキシン類対策特別措置法
ダイオキシン類対策特別措置法は、ダイオキシン類による環境汚染を防止するための法律です。
一定規模以上の廃棄物焼却炉について、届出や排出基準、測定などの義務を定めています。
この法律において重要となるのが、焼却能力50kg/h以上、または火床面積0.5㎡以上という基準です。
廃棄物処理法による施設設置許可と、ダイオキシン類対策特別措置法による届出は、別の制度です。
そのため、焼却炉の導入を検討する際には、それぞれの法律について確認する必要があります。
小型焼却炉なら、どんな設備でも使えるわけではない
小型焼却炉は、処理能力が小さければどんな設備でも使用できるというものではありません。
廃棄物を適正に焼却するため、焼却設備には一定の構造基準が設けられています。
主なポイントは次のとおりです。
燃焼温度を保てる構造
燃焼ガスを適切な高温状態で燃焼させることが求められます。
一般的な構造基準では、800℃以上で燃焼できる構造が重要な要件となります。
外気と遮断して廃棄物を投入できる構造
燃焼中に廃棄物を投入する場合には、燃焼状態を乱したり、煙を外部に漏らしたりしないよう、外気と遮断された状態で投入できる構造が求められます。
燃焼温度を確認できる装置
適切な燃焼状態を維持するため、燃焼ガスの温度を測定できる装置が必要です。
適切な燃焼を維持するための設備
燃焼に必要な空気を供給する装置や、燃焼温度を保つための助燃装置なども重要です。
なお、助燃装置については、加熱することなく燃焼温度を維持できる性状の廃棄物のみを焼却する場合など、法令で定められた例外があります。
こうした基準は、煙や臭い、不完全燃焼などを抑え、適正な焼却処理を行うために設けられています。
自治体によって設置条件が異なることも
小型焼却炉を導入する際に、特に注意したいのが自治体独自の規制です。
国の法律では届出対象とならない規模の焼却炉であっても、都道府県や市区町村の条例によって、届出や事前協議、追加の設備条件などが求められる場合があります。
例えば、地域によっては次のような条件が設けられることがあります。
- 小規模な焼却炉でも設置届出が必要
- 焼却炉の設置前に行政との協議が必要
- 排ガスなどの測定が求められる
- 設置場所や周辺環境について独自の基準がある
そのため、ある県で設置できた焼却炉が、別の県でも同じ条件で設置できるとは限りません。
焼却炉の導入を決める前に、設置予定地を管轄する自治体の環境担当部署へ確認することが大切です。
焼却炉を2台設置すれば、処理能力を増やせる?
例えば、焼却能力45kg/hの小型焼却炉を2台設置した場合、それぞれが50kg/h未満なので、届出などの規制を受けずに使用できるのでしょうか。
答えは、原則として「いいえ」です。
ダイオキシン類対策特別措置法施行令の別表第一では、廃棄物の焼却施設に2基以上の焼却炉が設置されている場合、それぞれの火床面積や焼却能力を合算して規模基準を判断すると定められています。
例えば、45kg/hの焼却炉を2台設置した場合、合計焼却能力は90kg/hとなります。
同一の廃棄物焼却施設に設置する場合、50kg/h以上という基準を超えるため、ダイオキシン類対策特別措置法の特定施設に該当します。
また、焼却能力がそれぞれ30kg/h未満の小型焼却炉でも、2台の合計能力が50kg/h以上になれば、同様に規制対象となります。
「1台ずつなら基準未満だから問題ない」という考え方はできません。
複数の焼却炉を設置する場合は、施設としての規模や構造を踏まえて判断されるため、必ず事前に行政へ確認する必要があります。
他社の廃棄物も焼却できる?
小型焼却炉を導入する際には、自社から発生した廃棄物を処理するのか、他社から廃棄物を受け入れて処理するのかという点も重要です。
自社の事業活動で発生した廃棄物を自ら処理する場合と、他社から委託を受けて廃棄物を処理する場合では、必要な許可が異なります。
他社から産業廃棄物を受け入れ、処分を業として行う場合には、原則として産業廃棄物処分業の許可が必要です。
これは焼却炉の規模が小さくても同様です。
なお、産業廃棄物処分業の許可と、焼却施設そのものの設置許可は別の制度です。
自社処理を目的とするのか、他社の廃棄物処理を事業として行うのかによって、必要な手続きを確認することが大切です。
小型焼却炉「チリメーサー®」という選択肢
株式会社トマス技術研究所が開発・製造する「チリメーサー®」は、事業所などから発生する可燃性廃棄物の自社処理を目的とした小型焼却炉です。
チリメーサーには、焼却能力50kg/h未満の機種があり、国の規模基準に配慮した設備選定が可能です。
また、独自の燃焼制御技術により、燃焼状態に応じてバーナーや送風装置などを自動制御し、煙やダイオキシン類の発生を抑えることを目指して開発されています。
チリメーサーの主な特徴は次のとおりです。
- 煙や臭いの発生を抑える独自の燃焼技術
- 燃焼状態に応じた自動制御
- 木くず、廃プラスチック、ゴムなど、機種や条件に応じた可燃性廃棄物への対応
- 事業所で発生する廃棄物の自社処理による処分費用削減の可能性
ただし、チリメーサーであっても、全国すべての地域に無条件で設置できるわけではありません。
特に廃プラスチック類を焼却する場合は、機種ごとの処理能力や焼却する廃棄物の種類、設置予定地の規制などを確認する必要があります。
適切な機種を選定するとともに、必要な行政手続きを事前に確認することが重要です。
導入前に確認しておきたい5つのポイント
小型焼却炉の導入を検討する際には、次の点を整理しておくと、設置の可否や適切な機種を判断しやすくなります。
- 設置予定地:都道府県・市区町村はどこか
- 焼却する廃棄物の種類:木くず、廃プラスチック、ゴムなど
- 1日の廃棄物発生量と設備の処理能力:実際の発生量と、機種ごとの定格能力はどのくらいか
- 廃棄物の発生元:自社の事業活動で発生したものか、他社から受け入れるものか
- 設置場所の条件:敷地面積、周辺の建物、近隣環境など
これらの情報を整理しておくことで、導入後のトラブルを防ぎ、適切な設備選定につながります。
まとめ|50kg/h未満でも、設置前の確認が大切
小型焼却炉は、法令に適合した設備を使用し、適切な方法で運転することで、事業所の廃棄物処理に活用できる場合があります。
特に、焼却能力50kg/h未満、かつ火床面積0.5㎡未満という条件は、ダイオキシン類対策特別措置法の規模基準を考えるうえで重要です。
ただし、国の基準を下回っていても、自治体の条例や廃棄物の種類、施設の設置形態などによって、必要な手続きは異なります。
また、廃プラスチック類については、1日当たりの処理能力100kg超という別の基準があり、複数の焼却炉を設置する場合には能力合算にも注意が必要です。
「小型だから許可が不要」と判断するのではなく、焼却する廃棄物の種類と設備の能力、設置予定地の規制を確認することが大切です。
株式会社トマス技術研究所では、焼却する廃棄物の種類や量、設置予定地などをお伺いし、チリメーサー®の導入についてご相談を承っています。
「自社の地域でも設置できるのか知りたい」
「どの機種が適しているのか相談したい」
「現在の産廃処理費用を見直したい」
このような企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
株式会社トマス技術研究所