建設業が関わる廃棄物処理の2024年以降の主な法改正・制度変更
2024年以降、建設業が関わる廃棄物処理のルールや法律が大きく見直されています。環境に配慮し、持続可能な社会を目指す動きが一層強まり、建設現場から出る廃棄物(がれき、木くず、コンクリートなど)の正しい処理やリサイクルは、法的な義務であると同時に会社の社会的責任にもなっています。本記事では、2024年以降に始まった主な法改正や、建設業で押さえておくべき最新ルールについて簡単に分かりやすく解説します。
2024年以降の主な法改正・制度変更
■廃棄物処理法の改正ポイント(2025~2027年施行)
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2025年4月の改正で、産業廃棄物の電子マニフェスト(JWNET)に「処理工程ごとの内容や量など」の新しい記載項目が加わります。処分業者は詳しく処理状況を入力し、排出した会社は最終的な流れまで電子上で把握できるようになります(実際の運用は2027年4月スタート予定)。
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また、他の会社に産業廃棄物の処理を頼む場合に作る契約書には、2026年1月以降、PRTR法の対象になる有害な化学物質について、物質名や含有量なども記載することが必要となります。
■建設リサイクル法と関係法の動き
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2002年から施行されている建設リサイクル法のもと、建設廃棄物の分別解体とリサイクルが徹底されています。最近は分別の行政指導強化や現場パトロールの実施、解体現場でアスベストやフロンの適切な処理が特に重視されています。
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2025年4月から、建設リサイクル法に基づく各種届出が原則として電子申請義務となり、違反時の罰則も強化されています。
■プラスチック・循環関連新法
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2022年施行の「プラスチック資源循環促進法」により、プラスチック製品全般でリサイクルやリユース促進が求められています。建設現場でもプラスチック系の廃材は分別・再利用が重要になってきています。
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2025年2月からは「再資源化事業等高度化法」も始まり、高度なリサイクル技術やカーボンニュートラル推進に取り組む業者に新たな認定制度が導入されます。
建設業で注意すべき廃棄物と処理ルール
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主な建設廃棄物はコンクリートがら、アスファルトがら、木くずなどです。大規模な工事(解体は80㎡以上、新築は500㎡以上など)では、それぞれ分別して解体し、決められた施設でリサイクルする義務があります。
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発注者や元請業者は、工事開始の7日前までに自治体に計画を届け出て、分別解体の内容を明確にしておく必要があります。分別された各資材は再利用(コンクリート→路盤材、木材→燃料など)されるのが一般的です。
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石綿(アスベスト)やフロン類を含む廃棄物は、専門的な除去・届出・調査が必要で、違反すると罰則がとても重くなります。
元請・下請の責任分担
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現在の法律では、建設工事で発生した廃棄物の最終的な責任は「元請業者」が原則として負います。下請への丸投げは許されず、元請が指示・管理・契約・記録まで一貫して行う体制が求められます。
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例外として、ごく小規模な工事(500万円以下等)で一定の条件を満たす場合のみ、下請が自ら排出者として扱われますが、ほとんどの現場は元請責任です。
マニフェスト制度の最新動向
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建設から出る産業廃棄物はすべて「マニフェスト(管理票)」で流れを管理しなければなりません。紙のマニフェストから電子(JWNET)への移行が進み、特定の産業廃棄物が多い事業者は電子マニフェスト利用が義務です。
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2027年からは電子マニフェストで処分工程ごとの詳細報告も必要になり、排出した廃棄物の行方やリサイクル率などを正確に把握できるようになります。
罰則と行政指導
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不法投棄や無許可処理など重大違反には厳しい刑事罰(法人最大3億円の罰金、個人でも1,000万円など)が設けられています。
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細かな違反(分別不足、書類不備など)でも自治体から指導や勧告が増えており、社名公表や業務停止・指名停止といったペナルティリスクもあります。
建設廃棄物処理の今後と環境配慮
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今後は、廃棄物を出さない工夫や、CO₂排出を減らすリサイクル、高度な技術を使った再利用へと流れが加速しています。国の認定制度や補助金の活用、電子化による業務効率化も進むでしょう。
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サーキュラーエコノミー(循環経済)の視点から、設計や解体時からリサイクルしやすい材料・工法を採り入れる先進的な会社も増えています。
まとめ
建設業の廃棄物処理は年々厳しく、複雑になっていますが、基本は「元請が責任管理」「分別解体・リサイクルの徹底」「マニフェストで流れを記録」という3点です。新しい法改正や電子化にも素早く対応し、社内ルールを見直して安全・安心の現場運営を心がけましょう。法的な細かい部分は随時最新情報を確認し、不明点は行政や専門家にも相談するのが安心です。