炭化炉
廃棄物(非炭化物)炭化装置の活用背景
地球規模で大きな課題として捉えられているものの一つに、異常気象や気温上昇を引き起こす地球温暖化があります。この地球温暖化の主な原因は、工場や家庭から排出される二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガスの増加です。先進国がこれまで無配慮に温室効果ガスを排出してきた結果、大気中の濃度が高まり、様々な悪影響を及ぼすようになってしまいました。
そうした中で、地球温暖化対策として近年注目を集めているのが「炭化装置」です。炭化装置は捨てられるはずの廃棄物(非炭化物)を炭化する装置のことで、使い方によっては大気中の二酸化炭素を削減する効果を持つため、注目を浴びています。
炭化炉とは?
炭化炉は廃棄物(非炭化物)などの有機物を熱分解させることで炭にできる装置です。焼却処理と異なり炭素を固着させることができるため、二酸化炭素排出削減することができます。また、本来捨てられるはずの廃棄物(非炭化物)を炭にすることで、肥料や燃料などの有機性の資源として再利用できるため、資源の有効活用にもつながる環境に優しい処理方法です。
3つのメリット
1.環境負荷の低減
炭化炉は捨てられるはずの廃棄物(非炭化物)等を炭化により、炭に炭素を固着させられるため、焼却炉による処理と比較すると廃棄物(非炭化物)の処理時に発生する二酸化炭素の排出を抑えることができます。
2.再利用の可能性
炭化炉を使用して発生した炭は、燃料や自然堆肥などの有機性の資源として利用することが可能です。反面、従来の焼却処理で廃棄物(非炭化物)を焼却して出てきた灰は、産業廃棄物として処理されています。したがって、焼却炉から炭化炉に入れ替えることで、産業廃棄費を減らせるうえに場合によっては高額で売ることができるため、採算性の見直しが期待できます。
3.環境改善への取組
廃棄物の炭化への取組は、SDGsの取組にも繋がります。
また、環境省は2050年カーボンニュートラルに向けた廃棄物分野の脱炭素対策について検討しており、廃棄物の炭化はその一つです。経済産業省でも、廃棄物分野における地球温暖化対策について検討しており、廃棄物の炭化はその一つとなっております。
小型炭化炉
1. 設備概要
- 規 模:火格子面積 0.49㎡
- 外形寸法:1,429㎜×1,747㎜×高3,821㎜
- 重 量:2.1t
- 構 造:炉内面 耐火キャスタブル(煉瓦)ライニング構造
2. 炭化炉仕様
- 処理量:0.6㎥/1バッチ
(例:木材(モクマオウ)の場合は1バッチで約200㎏) - 炭化物量:処理物投入重量の10~20%
- 全自動運転であるため、だれでも簡単に運転が可能である。
※1バッチとは1回の処理工程の事。
運転の流れ
例:木材(モクマオウ)を炭化する場合
- 処理物を炉内に詰めていく
- 扉を閉める
- 各バーナ、ブロワの吸い込みダンパを指定の量に調整(確認)する。
- スタートボタンを押す(自動制御の為、その後の操作は特に必要無し)
- 約6時間後、各バーナ、ブロワの吸い込みダンパを全閉(CLOSE)にする。機器は自動で停止するので、その他は特に操作の必要無し
- 翌日、炉内の温度が下がっている事を確認し、炭化した処理物を取り出す。
メディア掲載
業界紙『月刊コロンブス2024年6月号』で紹介されました。