離島モデルが日本の「先行モデル」に!条件不利の現場から生まれた建設ノウハウ

沖縄県離島で多くの建設現場の課題解決のために技術開発をおこなってきたトマス技術研究所(うるま市)の福富健仁代表は、これまで離島の建設現場で経験してきた人手不足やインフレによる原価高騰、そして環境問題、現場の規制強化への対応や地元との協力体制などについて「今では日本の建設業界全体が直面している問題だ」と話す。そして「むしろこれからは離島で対応してきたやり方が標準になるのではないかと思う」とも。
沖縄県と本土とのコスト差でもっとも重要なのは「輸送コストの価格差」だ。鉄道のないクルマ社会の沖縄にとって、首都圏基準の燃料に輸送費が加算されるからだ。また「平地の少ない作業場所での手間ヒマ」も人件費に直接ひびいてくる。さらに「いつも台風や不安定な気象変動に合わせるために工程の見直しが発生する」といった負担が重くのしかかっていると福富さんはいう。にもかかわらず「これまで沖縄は一般的に『きびしい下請け価格』に甘んじてきた」と福富さん。沖縄は本島と54の離島からなり「本島を除くどの島でも実情は同じ」だと話す。本土でも中山間地域は無人化したり、高齢者の一人住まいなど限界集落が急増している。これらの地域はまさに沖縄の離島と大差がない。沖縄の離島は下請け価格においても課題先進地なのだ。「今一度、沖縄・離島がどのように障害を乗り越え、ハードルを乗り越えてきたかを学んでほしい」と福富さんは話す。
建設時の産廃についても住民とトラブルがあったり、処分地の選択肢が少なく、場当たり的な対応をしてすぐに行き詰まる。こういったことを解決するには「強い現場をつくることが先決だ」と福富さん。
「そのためには、工程を紙一枚にまとめ、定期的に更新する。窓口を一本化し、協力会社と条件を共有する。誰が見てもわかる形にする」ことではないか、と。そして、これが沖縄の現場で磨かれた「回りつづける仕組み」だと強調する。「人が減り、環境条件が厳しくなるなかで、これからの建設業に求められるのは、規模の大きさではなく、構造の強さだ」と話す。