「産廃」と「環境技術」の視点|沖縄建設新聞(建設論壇)

建設業界において、産業廃棄物は決して周辺的な問題ではない。むしろ、工事の始まりから終わりまで常に付きまとう「もう一つの現場」である。材料を搬入し、施工し、完成させる。その一方で必ず発生する廃棄物を、どう処理し、どう管理し、どう費用化するか。ここを曖昧にしたままでは、いずれ現場も経営も立ち行かなくなる。

私は沖縄で、環境技術の開発・製造を行うトマス技術研究所を経営している。日々、建設業と産廃処理が切り離せない現実を現場で見てきた。建設工事は必ず廃棄物を生む。木くず、廃プラ、混載廃棄物、汚泥。さらに近年は、分別が難しい複合材や樹脂、解体由来の多様な廃材が増え、現場の判断負荷は確実に上がっている。

これまで多くの現場では、「出した後、どうするか」は外注と処分場に委ねられがちだった。もちろん専門業者の役割は極めて大きい。しかし近年、その前提が大きく揺らいでいる。処分費の高騰、運搬コストの上昇、処分場の逼迫。法令順守の厳格化やトレーサビリティの要求も進み、従来の運用感覚のままでは回りにくくなった。加えて、人手不足や車両・燃料費の上昇も重なり、産廃処理は「いつでも頼める下請け工程」ではなく、工程管理そのものの重要課題になりつつある。

特に沖縄や離島地域では、「本土と同じやり方」が通用しない場面が増えている。処分場が遠く、選択肢が限られ、天候一つで工程が狂う。海上輸送や離島航路の制約で、搬出のタイミングが読めないこともある。例えば、分別しきれない混載廃棄物が一定量たまっても、すぐに搬出できるとは限らない。結果として、産廃処理が工程のボトルネックになり、工期遅延や追加費用に直結する。現場は努力しているのに、最後に産廃で躓く―そんな場面を私は何度も見てきた。

それにもかかわらず、産廃は今なお「見えにくいコスト」として扱われがちだ。工事原価の中で後回しにされ、最後に帳尻を合わせる対象になってはいないだろうか。だが、帳尻合わせで吸収できる範囲を超え始めているのが、いま起きている変化である。産廃は、現場の問題であると同時に、経営の問題でもある。だからこそ、現場担当者任せにせず、経営として「処理の設計」と「費用の見える化」を組み込み、工程の最初から計画に入れる必要がある。

ここで重要になるのが「環境技術」の視点だ。環境対応は、もはや「やらされるもの」でも、規制対応のためだけのコストでもない。どう向き合うかによって、企業の体力や競争力がはっきりと分かれる時代に入っている。産廃を単なる処分対象として見るのか、工程・品質・原価・地域環境を含めた「経営課題」として捉えるのか。その差が、数年後に企業の明暗を分ける。処理の選択肢を持つ企業は強い。逆に、処分先の事情に振り回される企業は、利益だけでなく信用まで失いかねない。

建設業界を取り巻く環境は、資材高騰、人手不足、工程の複雑化など、年々厳しさを増している。そうした中で、産廃処理を「後工程」ではなく「計画工程」として捉え直す視点が、これからの現場と経営の安定を左右する重要な鍵になると考えている。本連載では、沖縄という現場から見えてきた産廃処理の実態、そこから生まれた技術や経営の考え方、そしてこれからの建設業が進むべき方向について、一経営者・一技術者の視点で率直に述べていきたい。理想論ではなく現場論として。机上の空論ではなく、実践の中で鍛えられた経験として。建設業界の皆様と共に考える場にしていきたい。

その第一歩として、ぜひ考えてみてほしい。皆様の現場では、産廃は「最後に片付ける仕事」だろうか。それとも「最初に設計すべき工程」だろうか。

株式会社トマス技術研究所
代表取締役 福富 健仁

沖縄建設新聞(建設論壇)
2026/02/25(水)
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