産業廃棄物の焼却はどこへ向かうのか?――いま求められる“小さくて強い”選択肢
「産業廃棄物の焼却」と聞くと、多くの方は巨大な焼却施設や高い煙突、環境負荷の懸念といったイメージを持たれるかもしれません。しかし、今、廃棄物焼却の世界は大きく変わろうとしています。
高度経済成長期から続く“大量排出・大量焼却”の時代は終わり、これからは「分散型」「省エネ型」「低環境負荷型」へ。そうした転換の中で注目されているのが、私たちThomas技術研究所が開発・提供している小型焼却炉「チリメーサー」です。
今回は、産業廃棄物焼却の現状を整理しながら、なぜ今「小さくて強い焼却炉」が必要とされているのかを掘り下げてご紹介します。
焼却処理のいま:大量から最適へ
環境省によると、令和5年度の産業廃棄物排出量はおよそ3.6億トン。そのうち約17%にあたる6,000万トン近くが焼却処理に回されています。
以前は、都市部に設置された大型焼却炉に依存する形で“すべてをまとめて燃やす”スタイルが主流でしたが、現在では「処理するごみの性質に応じた柔軟な設備運用」が求められる時代です。
その背景には以下のような課題があります:
- 老朽化した大型焼却炉の維持・更新コストの増大
- 廃棄物の分散化と多様化(工事現場・離島・福祉施設など)
- 排ガスやダイオキシンに対する環境規制の強化
- CO₂削減を求められる企業の環境対応ニーズ
こうした現状を受けて、「すべてを中央集約して処理する」モデルから、「現場近くで完結する処理」が注目されるようになりました。
小型焼却炉チリメーサーが果たす役割
Thomas技術研究所が開発した小型焼却炉「チリメーサー」は、こうしたニーズに応えるために生まれました。
- 設置スペース不要のコンパクト設計
- ダイオキシン濃度が国基準の1/100以下
- 煙が出にくく、周囲への配慮も万全
- 高温燃焼で廃プラスチックにも対応
- 現場で簡単に操作可能なシンプル設計
実際に導入された現場では、建設廃材、エアコン更新作業に伴う断熱材、離島での生活系ごみなど、これまで運搬・保管に悩んでいた廃棄物をその場で処理できるようになり、コストと時間の両方で大きなメリットを生んでいます。
焼却を「環境問題」から「地域貢献」へ
従来、焼却炉というと「環境負荷があるからなるべく使いたくない」という立場を取られることが多くありました。実際、ダイオキシンなどの有害物質問題が社会問題となった時代もありました。
しかし、チリメーサーは「排ガス対策済み」「少量高効率」「再資源化にも対応」といった特性を持ち、環境配慮型の処理が可能です。だからこそ、以下のような場面で選ばれています:
- 農業ハウス用のビニール資材の処分
- 病院・福祉施設の包装ごみ処理
- イベントやアウトドア施設で出る混合系廃棄物の処理
- 災害復旧現場での衛生対策を兼ねた廃棄物処理
一つひとつは「小さな処理」ですが、それが数百、数千の現場に広がるとき、全体としての環境負荷削減にも大きく寄与するのです。
今後の焼却処理の5つのキーワード
これからの時代、産業廃棄物焼却は以下のような方向へ進むと予測されます。
- 分散処理:大型炉から小型炉への分散。地域単位での処理が主流に。
- 脱炭素対応:燃焼効率の向上やCO₂回収との連携が課題に。
- AI・IoT化:燃焼の最適化や保守の自動化による省人化。
- 低コスト・省スペース:建設費や運用コストを抑えられるコンパクトモデルが有利。
- 社会受容性:煙が出にくく、音も少ない「迷惑をかけない焼却炉」への期待。
チリメーサーは、これらのすべてに対応できる製品として開発され、すでに多くの現場でその力を発揮しています。
「小さいけれど、力強い焼却炉」を必要としていませんか?
日本全体で見れば、産業廃棄物の焼却は依然として“巨大な社会インフラ”の一つです。しかし、現場レベルでは、「いますぐこのごみを何とかしたい」「運搬せずに処理したい」というニーズが確実に存在します。
私たちは、そうした“足元の声”に応える技術として、チリメーサーを開発してきました。
持続可能な廃棄物処理、環境に配慮した経営、そして地域社会との共生――そのすべてに貢献できる、小さくて頼れる焼却炉がここにあります。
▼ 詳しくはこちらのページへ:
チリメーサー詳細ページ
次回は「焼却炉の導入コストをどう回収するか?」という視点から、導入事例や運用実績をご紹介していきます。