産業廃棄物処理の見直しでコスト削減!経営者が押さえるべき3つの視点
「毎月の廃棄物処理費用、何となく高い気がするけど、これって普通なのかな…」
多くの経営者が、目の前の業務に追われる中で、産業廃棄物の処理費用について深く考える機会は意外と少ないものです。しかし、この「何となく」が実は経営にとって大きな損失になっているケースも珍しくありません。
今回は、産業廃棄物処理の見直しがなぜ経営改善につながるのか。そのために押さえるべき3つの視点を、経営者目線で整理してみます。
視点1:「処理コスト=固定費」と思い込んでいないか?
産業廃棄物の処理費用は、毎月一定額が発生するため、経理処理上は「固定費」として扱われがちです。しかし、実際には委託方法や業者選定、処理ルートの見直し次第で、変動させることができる「隠れた変動費」とも言えます。
実際に、廃棄物処理工程の見直しに取り組んだある製造業の事例では、廃液の性状変化に応じて処理工程を最適化することで、処理費用を大幅に削減しました。さらに、洗浄工程を見直し、設備を刷新したことで、廃棄物の減量とともに処理コストだけでなく、作業時間も短縮されています。
また、廃棄物の運搬工程においても、使用する車両を大型化し、一度に運べる量を増やすことで、収集運搬費用や作業工数の削減につながった例もあります。
このように、処理工程や運搬手段を見直すだけでも、従来通りの委託契約に頼った処理と比べ、年間数百万円規模のコスト削減につながった企業は少なくありません。
経営数字を見直す際、意外とノーマークなのがこの産廃処理費用。まずは「本当に今の契約が適正か?」という問いかけから始めてみてください。
視点2:コスト削減だけでなく、リスク管理の視点で見る
コストダウンだけを目的に処理を見直すのは危険です。なぜなら、産廃処理には常に「法令違反」「不適正処理」のリスクがつきまとうからです。
実際、処理業者の不法投棄や違法処理によって、処理元である企業が罰則を受けるケースも少なくありません。「安さ」だけで選んだ結果、ブランド毀損や行政指導に発展した事例は、全国で後を絶ちません。
経営者が見るべきは「価格だけでなく、適正かつ安全な処理がされているか」という部分です。万一のリスクを避けるためにも、処理業者の許可証確認や、処理ルートの可視化は必須です。
視点3:自社処理・自社管理の可能性も視野に入れる
これまで外部委託していた処理を、一部自社内で処理する企業も増えています。小型焼却炉などを活用することで、運搬コストや外注管理コストを削減できるだけでなく、社内の廃棄物管理レベルが飛躍的に高まるからです。
特に、日々コンスタントに同種の廃棄物が発生する業種では、自社内で処理工程を完結できるメリットは大きいです。
ただし、自社処理には導入コストや許可申請などのハードルもあります。導入の是非は、処理量、費用対効果、環境負荷、社内体制を総合的に評価した上で、慎重に検討する必要があります。
まとめ
産業廃棄物処理は、「経費」の一項目として処理されがちですが、経営改善の視点で見れば、まだまだ掘り起こせる「利益の種」です。
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コストを固定費と決めつけない
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リスク管理の視点も合わせて見る
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自社処理化も視野に入れる
この3つの視点をもつことで、処理費用の最適化だけでなく、経営全体のリスク低減や、ESG経営への対応力も高まるでしょう。