世界初、小型焼却炉による発電本格化のための特許完全取得
コロンブス 2019年7月号

世界初、小型焼却炉による発電本格化のための特許完全取得
「環境を守り、技術で社会に貢献する」をモットーに「チリメーサー」「サーマルチリメーサー」を開発してきた(株)トマス技術研究所(沖縄県うるま市/福富健仁社長)は、2019年5月17日付で「蒸気復水器」の特許を取得した。この特許取得で、廃棄物焼却廃熱利用発電に必要なすべての特許を取得したとことになる。その特許とは1ボイラー(蒸気サーマルチリメーサー)2タービン3発電サイクル4冷却水システム、そして今回取得した5浄水復水器だ。これでゴミ(廃棄物)を燃やしてエネルギーを再生することが可能になった。廃棄物を焼却して発電するというこの技術は小型焼却炉としては世界初の快挙だ。
そもそも、同社は「すべての特許は内製化する」との方針のもと、モノづくりに邁進してきた。しかし、「復水器の特許申請時には特許庁から拒絶査定を受けた」と技術部技術開発課特許担当の喜久山朝美さんは話す。そこで、喜久山さんは「無効審判請求を起こしてでも特許査定を勝ち取るんだ」という気持ちで一念発起。「二度の拒絶、そしてその後の拒絶査定の際にも、その内容を丹念に検討し、すでに登録されている他社の特許との差違、引用文献の一部書き換えなどの不当な記載を指摘するなど、明確な意見書を提出、無効審判請求をして、ようやく特許登録にこぎつけた」という。ちなみに、再審の通知がきたのは17年10月、それから待つこと約1年半、19年3月に拒絶査定の取り消し通知があり、やっと、この5月に特許認可となったという。
喜久山さんは「特許査定通知書を受け取ったとき、真っ先に社長のところに走って行きました。社長は『よくやった!あきらめずによくやった!』と一緒に涙を流しながら喜んでくれました。これからもトマスの技術を信じて、さらに精進していきたいと思います」と。そして、福富社長は「2014年に出願して5年かかって取得した特許技術です。トマスの全員の思いと喜久山さんのあきらめない心のおかげだ」と話している。これからの躍進を期待したい。