チリメーサーの挑戦:雪国での新たな一歩

沖縄県のモノづくりを牽引するトマス技術研究所(沖縄県うるま市:福富健仁代表)は、煙が出ない、ダイオキシンもほとんど出ない超小型焼却炉「チリメーサー」を開発して20年。以来、顧客のニーズに合わせてこのチリメーサーのカスタマイズに努めてきた。このたび同社に寄せられたニーズは、沖縄生まれ沖縄育ちの「チリメーサー」が一度も体験したことのない「雪」。大型台風には強いチリメーサーも雪が積もる環境は未知数だった。

北海道の中央部に位置する富良野市からその相談が持ち込まれたのは2022年。施工地は例年11月頃から平坦部で約1m、山間部では2~3mの雪が積もるという。この地域で産業廃棄物事業を営む会社から「医療系廃棄物や混合廃棄物、整理した遺品などの焼却処分を自社で手掛けるために小型焼却炉を検討したい」という連絡があったそうだ。

この相談を受け、同社ではチリメーサーの養生建屋の屋根に勾配をつけることに。通常の陸屋根式ではなく、片流れ屋根にするために積雪の重量なども考慮し、2方向の柱を長くするといった設計変更をした。そして雪が積もらないようにするために「雪が降ってきたら屋根の温度を上げるシステム」を考案、こうした発想の転換で、福富社長はこれまでも幾度の困難を乗り越えてきたのだ。そして、22年10月に無事、納品した。ところが、冬になり雪が降ると、計算どおりには雪が融けなかったという。

また、溶けた雪が土台に落ちて足元が水浸しになってしまう問題も。そこで23年1月、同社の福富社長は現地を訪れ、雪を被ったチリメーサーと対峙した。その雪を見てピンときたのが「小型焼却炉養生建屋融雪用屋根技術」。傾きのついた屋根の軒先を伸ばし、屋根自体を加工するという福富社長の閃きを、現場対応で施工するのは至難の技だったに違いない。何とか完成、納品した後、23年12月に「雪が融けた!」と現地からの一報が届いた際にはトマスの面々は「バンザイ!」と喜んだという。さまざまな困難を乗り越える職人魂にこれからも期待したい。

 

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2024年9月30日月刊コロンブス